- 2025.5.22
- はっとり整形外科リウマチクリニック
- 投稿者:院長 服部 陽介

関節リウマチは、関節に炎症が起こり、痛みや腫れを伴って軟骨や骨が破壊される自己免疫疾患です。近年では、生物学的製剤やJAK阻害薬、バイオシミラー、MTXの注射製剤などの導入により治療法が大きく進化し、多様な薬物治療が選択できるようになっています。
しかし、関節リウマチの原因はまだ完全には解明されておらず、根本的に治すことは難しい病気です。
日本における関節リウマチの有病率は0.7%とされており、全国には約82.5万人の患者さんがいます。名古屋市内でも、約1.6万人の患者さんがいると推定されており、決して珍しい病気ではありません。特に高齢化が進むなかで、65歳以上の患者さんが全体の60%を占めるようになり、高齢発症のケースも増加しています。
関節リウマチは、発症後1〜2年の間に関節破壊が進行することが多いため、早期発見と早期治療が非常に重要です。アメリカリウマチ学会(ACR)やヨーロッパリウマチ学会(EULAR)の分類基準に基づいた早期診断と、薬物治療アルゴリズムに従うことが、国際的な標準治療として推奨されています。
治療の目標は「寛解」です。寛解とは、痛みや腫れなどの症状がない状態を指します。適切な治療を早期に始めることで、患者さんは日常生活を快適に過ごせるようになります。多くの患者さんでは、寛解後も治療を継続することでその状態を維持できますが、特に発症から1〜2年以内に適切な治療を行うことで、薬の使用が不要になる(ドラッグフリー)可能性も高まります。
2010年以降、超音波検査(関節エコー)が滑膜炎の診断や治療効果の判定に広く使われるようになりました。当院でも関節エコーを用い、患者さんにリアルタイムで関節の状態を確認していただき、病状を視覚的に理解してもらうことで、治療方針に納得していただけるよう心がけています。
クリニックの役割は、関節リウマチの患者さんに対するプライマリケアと健康管理です。早期発見、早期治療、そして厳密な管理(タイトコントロール)を行い、患者さんの生活の質を高めることを目指しています。
実際、多くの患者さんが最初に訪れるのは大学病院や大病院ではなく、私たちのようなクリニックです。当院では、初期段階での正確な診断と適切な情報提供を行い、リウマチ治療の最前線で患者さんをサポートしています。
今後も、関節リウマチの患者さんが安心して治療を受けられるよう、質の高いプライマリケアと健康管理を提供してまいります。
(エスエル医療グループニュースNo.168 2024年12月)
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