- 2026.2.25
- さかもと内科腎クリニック
- 投稿者:院長 坂本いずみ

【高血圧を放っておくとどうなりますか?】
腎臓は細い血管がたくさん集まってできていて、高血圧によって傷つきやすい臓器です。
高血圧を放置すると血管が硬く細くなる動脈硬化がじわじわと進行します。
それにより腎臓の正常な構造が壊れてしまうと、やがては透析が必要な腎障害をおこします。
高齢社会を迎えて、高血圧性腎硬化症は年々増加しており、透析導入の原因としては糖尿病性腎症に次いで第2位となっています。
【高血圧性腎硬化症とは?】
腎臓では、枝分かれして徐々に細くなる血管に大量に血液が流れ込み、最後に細い毛細血管でできた糸球体でろ過されます。
1 日で 100 リットルほどの原尿を糸球体でこし出した後、尿細管で体に必要な水分とミネラルを再吸収し、不要なものだけを 1 - 2 リットルの尿として排泄します。
もともと強い血圧をかけて水と老廃物を絞り出す仕組みですが、あまりにも強い圧がかかると腎臓の細胞は傷ついて壊れ、やがて糸球体はしぼんで硬化してしまいます。
これが高血圧性腎硬化症です。
正常に働く糸球体が少なくなると、尿が十分に作れず血液中に老廃物がたまってきます。
この病気は長い時間をかけてゆっくり進行するので、診断されたときには血圧が高くないこともあります。
このような人は、過去の高血圧や加齢などが影響していると考えられます。
診断は、病歴(これまでの生活や生活習慣病の経過)や身体所見、血液検査、尿検査、腹部超音波やCTなどの画像診断の結果から総合的に行います。
高血圧性腎硬化症では腎臓の働きは少しずつ悪くなることが多く、かなり悪化するまで自覚症状はありません。
【治療は? 血圧は高すぎにも低すぎにも注意!】
血圧を適正に維持することが大切です。
血圧が高いと蛋白尿が多くなり、腎障害の進行が速くなります。
年齢、蛋白尿の有無、糖尿病の有無により目標血圧が異なります。
患者さんによって病状は様々なので、脳梗塞や心疾患など他の病気がある方は、担当の医師にご自身の目標血圧を確認してください。
他の腎疾患の場合に比べると、腎硬化症の患者さんは、血圧の下がりすぎにも影響を受けやすいので注意が必要です。
下痢や熱中症による脱水などで血圧が大きく下がると急激に腎機能が悪化することがあります。
糖尿病や脂質異常症など動脈硬化を起こす生活習慣病の合併がある場合は、同時にしっかり治療を受けましょう。

【腎機能の悪化を抑えたい!生活習慣での注意は?】
◆食事療法その1
減塩は比較的取り組みやすく、すべてのステージの患者さんにおすすめです。
塩・味噌・醤油など塩分の多い調味料を控え、食塩を含まない香辛料(ワサビ、カレー粉、唐辛子、レモン、こしょうなど)やだしのうまみを生かした薄味の食事を工夫しましょう。
◆食事療法その2
サプリメントも含めて絶対的に良い食べ物や悪い食べ物はありませんが、食事内容が偏ると特定の成分が多すぎたり少なすぎたりすることがあります。
腎機能が維持されている場合には、多すぎる成分は腎臓が調整して尿に捨ててくれるので、体液の成分は一定に保たれます。
しかし腎機能が低下すると調整できる範囲が狭くなるため、たんぱく質・カリウム・食塩・エネルギーなどのバランスをとった食事療法が必要です。
CKD の進行に合わせた患者さんごとの適量がありますので、腎機能の悪い方は医師や管理栄養士に相談しましょう。
適正体重を維持・運動の習慣を
禁煙・節酒
自宅での血圧を測定し記録を
【生活と折り合いをつけて長く上手に付き合いましょう】
慢性疾患だからこそ初期の診断が大切です。
明るく前向きに CKD と向き合いましょう。
(エスエル医療グループニュース No.170 2025年8月)
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