なかなか止まらない咳の話

咳をしている女性のイラスト1.はじめに

のどの痛みで眼が醒める。
やがて鼻水がはじまり、何となく身体がだるく、微熱がある。
幸い翌日にはのどの痛みは軽くなり、鼻水も減ってきた。
ほっとする間もなく咳が始まった。
最初はのどの軽い咳であったのが、のどよりさらに奥の方から出る咳になり、ついには咳が一日中続くようになった。
夜、横になると特につらく、なかなか眠れない。
ようやく眠りにつけたと思ったら、何度も咳で眼が醒め、うとうとしているうちに、夜明けを迎える。
いつか治るだろうと思っているうちに、いつの間にか一ヶ月以上咳と付き合っている、こんな経験をされたことはないでしょうか?
今日はそんな咳の話をいたしましょう。

2.風邪と急性気管支炎の咳

風邪の咳は、喉の炎症のため起こる比較的軽い咳で、1週間もすれば良くなります。
炎症が息道の奥の方に起きているとつらい咳になります。
ウイルスによって引き起こされることが多い急性気管支炎という状態です。
これも大体1〜2週間ぐらいで治まっていきます。

3.怖い咳:肺炎

しかし似たような咳ですが、もっと怖いのが肺炎です。
のどいた、鼻水などはないのにいきなり咳が始まります。
発熱も伴い、寒気で震えるときもあります。

多くは細菌によって引き起こされる病気です。
細菌による肺炎を治すためには抗生物質が必要となります。
適切に抗生物質が選択されれば、肺炎も1週間前後で良くなります。

4.心臓が原因で起こる咳

心臓が悪くなってでる咳もあります。
心臓に持病のある方が風邪でも無いのに咳がでて、夜も咳でつらい、歩くと息切れする時は要注意です。

5.咳が続く場合の原因

風邪や急性気管支炎が、治ったあとも咳が続く場合があります。
マイコプラズマあるいは百日咳にかかった場合、特に咳が長引きやすいようです。
しかしそのような咳も通常は1〜2ヶ月で治まっていきます。

1〜2ヶ月を超えてもなお咳が続く場合、一番多いのは咳喘息という、咳だけがつらい気管支喘息です。
それに次ぐのはアレルギー性鼻炎など鼻の問題が原因の咳、三番目は逆流性食道炎です。

煙草を吸っておられる方では慢性閉塞性肺疾患と呼ばれる気管支に慢性の炎症があり、肺胞がたばこにより破壊される病気が長引く咳の原因となることがあります。

6.忘れてはならない病気

又、数はそれほど多くはありませんが忘れてはならない病気があります。
その筆頭は肺結核でしょう。
その他、肺が硬くなり咳が出る肺線維症という病気もあります。
肺がんが原因となる場合もあるでしょう。

一部を除いて、きちんと診断し、適切に治療をうければ、いずれは良くなる病気ですので、咳が長引いていたら、その重さに関わらず、かかりつけの先生に相談しましょう。

7.咳喘息について

最後に長引く咳の筆頭、咳喘息についてお話ししましょう。

喘息といえば、夜中に発作を起こし、ゼーゼーいってとても苦しくなる病気という印象をお持ちの方が多いでしょう。
しかし、咳喘息は、咳だけが続き長引く病気です。
特に季節の変わり目に、何のきっかけもなく咳が始まることが多いのですが、風邪やコロナにかかったことがきっかけになることもあります。

喘息と言われると不安になると思いますが、実は長引く咳の中で一番治しやすいのが咳喘息です。
気管支の炎症を改善し、気管支を広げるお薬を毎日吸入して頂くと、とてもつらかった咳が徐々によくなり、夜眠れるようになり、ほぼ1週間でほとんど咳は無くなっていきます。

もちろんそれでも良くならない方はある程度おられます。
さらに別の吸入薬を加えたり、飲み薬を加えたりしていけば必ずよくなります。

時には咳喘息に加えて、胃液の逆流がのどを刺激したり、鼻水がのどに降りたりなど、複数の要因がからむこともあります。
そのような場合は、咳喘息の治療に、これらの治療を加えることで良くなっていきます。

8.さいごに

今回、一番お伝えしたいことは、どんなにつらくて長引く咳でも、どうして咳が出ているか考え、治療していけば、いつか必ずよくなるということ
です。

諦めず、かかりつけの先生と一緒に咳が無くなる日を目指しましょう。

(エスエル医療グループニュース No.166 2024年4月)

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