エスエル40周年記念公開講座 健診データの見かた 教えます ~健康診断の歴史から、最新データまで~

  • 2026.10.26
  • 栄内科
  • 投稿者:院長 山田 琢之
健康診断で大切なのは、受診するだけでなく、その結果をよく理解し、数値の変化から「病気を起こす前のサイン」に気づくことです。
第二次予防となる「病気の早期発見·早期治療」という目的だけではなく、第一次予防である「生活習慣を見直し、健康な状態を維持する」ための絶好のチャンス到来だと思ってください。
特に体重が増加した方は、さまざまな生活習慣病を引き起こす状態「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」のリスクを認識し、早めに生活習慣改善に取り組みましょう。

あなたの健康を守るのはあなた自身。
健診を受けたら、結果表をよく見て、数値の意味や変化を知っておきましょう。
そして、これからも健康で充実した日々をお過ごしください。

公開講座では、血圧、血糖、脂質、肝機能、検尿·腎機能検査等の歴史と最新診断基準についてお話ししましたが、ここでは体重·身長測定の歴史、および腹囲測定についてお話しします。

【体重·身長測定の歴史】
現在の働く人の健診の始まりは明治44年(1911年)に制定され、大正5年(1916年)に施行された工場法です。
わが国初めての本格的な労働保護立法です。
このころの最低入職年齢は12歳、栄養状態や体格の把握および発育の良否の判定も含まれていました。
工場法施行規則で定められた健康診断の項目には体重、身長、そして胸囲がありました。
「腹囲」ではありません!「胸囲」です。
胸部X線検査がなかった時代の工場内での結核蔓延対策だったと言われています。
昭和22年(1947年)交付·施行された労働基準法、昭和47年に制定された労働安全衛生法における労働者の健康診断項目として、体重.身長測定は基本の健康診断項目として現在につながっています。
そして平成20年(2008年)からは腹囲の測定が加わりました。
体重測定がいつから行われてきたかには諸説ありますが、よく知られているのはインドのムガル王朝(帝国)時代のある王様が毎年自身の誕生日に年々増加する自分の体重を量り、国民に告知するようになったのがその起源と言われています。
飢餓が身近な時代に体重が増えるのは富と権力の象徴でした。今と反対ですね。
日本で一般の人が体重を習慣的に量るようになったのは比較的歴史が浅く1930年代といわれています。
結核が蔓延していた当時では、やせていることが不健康でした。
集団での体重測定は明治11年(1878年)の東京の神田一ツ橋の体操伝習所において実施されたもので、項目は「体長」「体重」「臀囲」「胸囲」「指極」「力量」「握力」「肺量」でありました。
その後、正式には、明治21年(1888年)から今の学校保健安全法の学校健康診断にあたる「活力検査」が実施され、明治30年(1897年)に「学生生徒身体検査規定」が交付されました。
昭和14年(1939年)からは児童生徒だけでなく労働者の健康管理として教職員の身体検査についても「学校職員検査規定」が設けられました。
ちなみに平成28年(2016年)の学校健康診断からは座高測定は姿を消しました。
当初は、座高に含まれる頭部、胸部、腹部には、生命の維持に重要な働きを持つ脳や心臓などのほぼすべての臓器が存在するため「胴長は健康である」と考えられて70年以上にわたり学校健康診断の必須項目として(意味なく?)毎年測定され続けられてきたわけです。

【腹囲測定】
内臓の周囲にたまった脂肪は、高血糖や高血圧、脂質異常などの原因となります。
肥満は、栄養のとりすぎや運動不足などにより、脂肪が過利に蓄積した状態のことを言います。
内臓の周囲にたまった脂肪の面積がおへその高さにおけるCT判断で男女とも100cmを超えると肥満となり、その指標として腹囲を図ります。
日本における(各国で診断基準が違います)基準値は男性85cm未満。女性90cm未満となっています。
腹囲の正しい測り方はこの図を参考にしてください。

*山田琢之執筆·総監修「健診活用ハンドブック 健診データの見方教えます」法研中部より

 




(エスエル医療グループニュース No.713 2026年8月)

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