- 2026.1.13
- 岩瀬内科・消化器内科
- 投稿者:院長 岩瀬 弘明

1.大腸ポリープとは
「ポリープ」というのは正確には病名ではなく『皮膚・粘膜などの面から突出し、茎をもつ卵球状の腫瘤(広辞苑第6版より)』の総称です。
つまり丸くて出っ張っている球状のものを一概に「ポリープ」と呼んでいます。
大腸ポリープ(図1)はその構造(組織)により、大腸がんになる可能性がある腫瘍性のポリープ(腺腫)とそれ以外(非腺腫)に分けられ、大腸ポリープの多くが腺腫です。
大腸腺腫は『悪性』の腫瘍、いわゆる「がん」になるという説があり、大きくなるにつれ「腺腫」の成分が無くなっていき、全体が「がん」に置き換わると言われています。

2.大腸ポリープができる原因と大腸がん
大腸ポリープができる原因は、主に遺伝子の異常と考えられ、大腸がんのリスクを高める要因として、年齢(50 歳以上)、家族歴(家族に大腸がんを患った人がいる)、肉食傾向、高カロリーな食事や肥満、酒の飲み過ぎ、喫煙などが指摘され、こうした要因が遺伝子に変化を起こして腺腫を発症し、大腸がんになるといわれています。
稀ですが最初から「がん」として発生するものもあります。
3.大腸ポリープの早期発見・治療
いずれにせよ大腸のポリープの多くは内視鏡で切除可能で完治が期待できます。
米国で 10 年間かけて行われた臨床研究National Polyp Study(NPS)では大腸ポリープを切除した人は 76 から 90%は大腸がんにかからず、
大腸がんが発生しても死亡数を優位に減少する効果があったと報告されています。
大腸ポリープはほとんどの場合、自覚症状がありません。
大腸がんになる可能性のあるポリープをより早期に見つけるためには、大腸の内視鏡検査が必須です。
4.大腸内視鏡検査
大腸ポリープの発見には肛門から造影剤(バリウム)と空気を注入して大腸全体を撮影するレントゲン検査とカプセル内視鏡という 2㎝程の小さなカメラを口から飲み込んで大腸を撮影する検査法がありますが、どちらも正確なポリープ診断は困難でありポリープを切除することもできません。
大腸内視鏡検査はお腹の中で折れ曲がったぶらぶらしている大腸の中を内視鏡が挿入するため、また内視鏡から空気を送気して腸管を膨らませて観察するため検査中苦痛を訴える方が多くみられました。
しかし熟練した大腸内視鏡専門医、また空気の代わりに炭酸ガスを使用することにより苦痛なく検査を終えることができます。
炭酸ガスは空気よりも 200 倍体内に吸収されるスピードが速いため検査中、検査後のお腹のはりを抑えることができます。
恐怖感、痛みが心配な方は静脈麻酔を使用して眠ったまま検査をすることもできます。
特別な基礎疾患が無い方は1㎝以下のポリープであれば、大腸内視鏡検査時に内視鏡の先端から器具を出して日帰り治療で切除することができます。
10 ~ 20mm 程度の良性のポリープは一部がんに置き換わっていることもあるため、内視鏡を使って病変粘膜の下に膨隆剤を打ち込み、病変の部分を浮かせて深めに切除する内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic mucosalresection:EMR)が必要で2~3日の入院が必要となります。
2㎝を超える場合は早期大腸がんの可能性もあり、さらに大きく深く切除する ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)で治療します。
進行がんで発見された場合は外科的手術を要します。
つまり小さい時に発見されたポリープはより簡単に切除でき完治できることになります。
5.さいごに
日本人に多いがんは胃がんとされていましたが、胃がんは年々減少し、最近、増えているのは大腸がんです。
大腸がんによる死亡者数は、男女ともに増え続け 20 年前の約2倍、特に女性の増加率が大きく、平成 15 年にはがんによる死因のトップが大腸がんになりました。
これは大腸内視鏡検査を受ける機会が少なく、また多くの患者様が検査を避けていたのが原因と考えられます。
積極的に大腸内視鏡検査を受け大腸ポリープを切除する国民が増えれば、日本の大腸がんの死亡率が下がるのは間違いありません。
大腸内視鏡検査を受けることに心配または抵抗のある方はとりあえず便潜血検査を行ってください。
2日間の便を調べて陽性と判定された場合に大腸内視鏡を受けていただきます。
この方法で進行がんの 90% 以上、早期がんの約 50%、腺腫などのポリープの約 30% を見つけることができます。
大腸がんは積極的に大腸内視鏡検査をうけることによりポリープ、大腸がんの早期発見、早期治療が可能となり、完治できるがんです。
大腸がんを心配している方は是非、当院を含め消化器科クリニックへ早めにご相談してください。
(エスエル医療グループニュース No.158 2021年8月)
関連する診療内容:

