- 2026.2.9
- やまうち消化器内科クリニック
- 投稿者:院長 山内 学

1.奈良宣言2023とは
健康診断などの血液検査で肝機能を示す ALT 値がもしも 30 を超えていたら、慢性肝臓病(CLD)が隠れているかもしれません。
まずはかかりつけ医などを受診し相談してください。
これは、2023 年、第 59 回日本肝臓学会総会で採択された奈良宣言です。
慢性肝臓病(Chronic liver disease: CLD) は、慢性肝臓病の英語の Chronic(慢性)+ Liver(肝臓)+ Disease(病気)の頭文字をとって CLD(シーエルディ)と呼称しています。
肝細胞が傷つくと細胞内の AST,ALT が漏れ出して,血管内に移行して数値が上昇します。
特にALT は他の臓器にあまり含まれていないため,その血液中の高さは肝障害を反映します。
肝炎ウイルスや脂肪肝、アルコール、免疫異常等の何らかを原因として肝臓が長期にわたり持続的な障害を受けると、炎症を修復する機序によって線維化(硬くなること)が生じ、進行すれば肝硬変といった肝臓の機能不全状態や肝がんの成因となり得ます。
よって血液検査の ALT 値が 30 を超えていた場合、まずかかりつけ医などを受診して慢性肝臓病(CLD)が隠れていないか検査を受けることを勧めています。
2.肝疾患の検査
かかりつけ医などで採血や腹部超音波検査などを受け、必要と判断されれば、さらに消化器内科でより詳しい検査を受けることで、肝疾患の早期発見・早期治療につながります。
HBs抗原やHCV抗体など肝炎ウイルス検査が陽性なら、ウイルス肝炎が疑われます。
肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧を合併し、脂肪肝を認める場合、血小板数が20万未満でFIB- 4 indexが1.3以上であるならば、肝線維化を伴う脂肪肝が疑われます。
飲酒量が男性で 60 g / 日以上・女性で40 g / 日以上かつASTやγ GTPが異常値ならば、アルコール性肝障害が疑われます。
その他の原因として、薬剤性肝障害や自己免疫性肝疾患なども疑われます。
これらの場合には、肝臓専門医や消化器内科などの専門診療科で肝臓に関する詳しい検査を受けて、肝臓病を悪化させないために、できるだけ早く適切な定期検査や治療を受けましょう。
近年、肝臓病でも頻度が高かったウイルス性肝疾患(特に B 型肝炎や C 型肝炎)の治療方法は進歩し、高い可能性で肝臓病から命を守ることができる時代となりました。
しかし、肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、肝臓病は病状が出ないまま進行します。
肝硬変や肝臓がんになると初めて、疲れやすい、顔色が悪い、お腹が張るなどといった症状が出ることが少なくありません。
最近、特に生活習慣に関連した脂肪肝など(代謝異常関連脂肪性肝疾患など(MASLD、MASH)、アルコール性肝疾患(ALD))が進行して肝硬変や肝臓がんに至ることも増えているので、注意が必要です。
3.さいごに
やまうち消化器内科クリニックでは、日本肝臓学会専門医として日々肝臓病の診療を行っています。
血液検査で肝機能の ALT 値が 30 を超えていた方は、お気軽に受診してください。
(エスエル医療グループニュース No.167 2024年8月)
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