性の健康を大切にしていますか?



ある会でノルウエーからの留学生と話す機会があったのですが、彼女の国では女性は中学生になると産婦人科の主治医を持ち、様々な相談に行くそうです。
学校の授業で産婦人科の医療機関を見学して、診療や治療(内診台とか器械とか中絶の手術の方法とか)について学ぶため、実際に受診する時も不安はないという話を聞き、目からうろこの思いでした。

日本では未だ「性」は嫌らしいもの、秘め事、暗くじめじめしたもの、といったイメージをもった言葉になりがちですが、性別を問わず子どもの頃から正しい教育を受けていれば、「性」は美しいもの、大切なもの、人が生きていく上でなくてはならないものであるという認識が自然に身についていくのではないでしょうか。

世界では2005年に「性の健康を推進するための宣言書(モントリオール宣言:ミレニアムにおける性の健康)」が「性の健康世界学会」で採択され、日本では日本性科学会がこれを指標として活動しています。
以下に採択された8項目を紹介します。

1. すべての人々の「性の権利」を認識し、促進し、保証し、保護する。
「性の権利」は基本的人権の不可欠な部分を成すものであり、奪うことのできない普遍的なものである。
「性の権利」なくして「性の健康」は獲得できない。

2. ジェンダーの平等を促進させる。
「性の健康」にはジェンダーの平等と相互の尊重が必要である。

3. あらゆる形態の性暴力および性的虐待を排除する。
社会的差別、性的虐待、強制や暴力から人々が解放されない限り「性の健康」は達成されない。

4. セクシュアリティに関する包括的な情報や教育を広く提供する。
若者を含めたすべての人々が、生涯を通じて、包括的セクシュアリティ教育、および「性の健康」に関する情報とサービスにアクセスできる状況でなければならない。

5. 生殖に関する健康(リプロダクティブ・ヘルス)のプログラムの中心的課題は「性の健康」である、という認識を確立する。
生殖は、人間のセクシュアリティの重要な側面のひとつである。
それが望まれ、計画されたものである場合には、人間関係や個人的満足の向上に繋がる。

6. HIV/AIDSや他の性感染症(STI)の蔓延を阻止し、状況を改善する。
疾患の予防、強制ではなく自発的な検査やカウンセリング、治療がいつでも受けられる体制が必要である。

7. 性に関する悩み、性機能不全、性障害の存在を認識し、それらに取り組み、治療する。
性的に充足していることは生活の質の向上に繋がるため、性に関する悩み、性機能不全、性障害の存在を認識し、それらに取り組み、治療することは重要である。

8. 性の喜びは幸福(well-being)の一要素であるという認識を確立する。
「性の健康」とは、単に疾病がない状態を意味するに留まらない。性の喜びや満足は幸福にとって不可欠な要素である。

国や地域により取り組むべき問題やその深刻さは異なりますが、差し詰め身近なところでは、ネット社会で人と人の繋がりが希薄になり、バーチャ
ルな世界で生きている人が多いことが問題でしょうか。
お互いの目を見て話し、触れ合って相手の温もりを感じ、相手の痛みや喜びを知り思いやるという、当たり前の人間らしい関係を取り戻していきたいと願っています。

(エスエル医療グループニュース No.138 2015年4月)

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