日本は長寿国か?



1.日本は世界一の長寿国か?

我が国の平均寿命は世界一です ( 最近の統計では、男女とも香港に次いで 2 位ですが )。
産業などの分野で、次々と他国に追いつかれてきている我が国の現状をみると、平均寿命だけでも世界一であるのは自慢できることだと思います。

しかし身体が不自由になってから死亡するまでの期間は日本人男性で 2 年弱、女性では何と 4 年強という統計が出されています。
米国では、ナーシングホームに入所してから死亡するまで一年位と言われています。
従って我が国は世界一の長命国ではあっても、国民が健康で長生きする国家、すなわち長寿国とは言い難いのです。

2.介護にかかる費用

寝たきりの老人を介護するのに、現代では介護保険という有難い制度が使えますので、月々 40万円ほどの介護サービスが受けられます。
すなわち寝たきり患者を世話するために、最低これ位の費用が必要な訳です。

しかし費用はそれだけではありません。
大なり小なり介護に携わる若い家族のコストパフォーマンスも加算せねばなりません。
家族であるから当たり前であると言ってしまえばそれまでですが、我が国は今、生産人口の減少と戦っているのです。
そう考えると、生産人口が家族の介護をするため仕事を減らすとしたら、生産活動を犠牲にしているのですから、それも立派なコストと考えてよいと思います。

寝たきりになることは、患者だけの悲劇ではなく、家族、さらには国家の悲劇にもつながるのです。

現在の日本は長寿国ではなく、長命国への道を歩んでいると思います。
こうなると、国家経済が破綻する危険もあり得るのです。
いくら高齢者が多くても、長寿国ならそれほど重荷にはならないのです。

3.「体」「心」「技」の順へ

そんな訳で、ただの長命国ではなく、世界一の長寿国を目指さねばなりませんし、そうすることしか我が国の生きる道はないように思います。
昔の養生は「心」「技」「体」の順に鍛えることが大切と言われてきました。
すなわち「病は気からであり、次に衣食住の知恵で病を遠ざけ、そこで初めて体を鍛える」ということだった訳です。
しかし現代では、生活環境および医学が長足の進歩をしたため、「人生五十年」の昔と異なり、平均寿命 80 歳以上の時代を迎えました。
現代においても「心技体」で良いのでしょうか?私は違うと思います。

現代において、「技」というのは、生活習慣病などの予防や病に罹患した場合の治療を指します。
高齢者は、そこまで生きられたのですから、このような「技」は後回しで良いでしょう。
確かに高齢者にとって「心」、すなわち気力、向上心は大切だと思います。
我が国では認知症が急増してきており、これは超高齢社会の副産物とも言えますが、それだけに年を取れば取るほど「心」の充実が望まれます。
前向きな気持ちを持たねばなりません。

また現代はストレス社会でもあり、自律神経失調症も発症しやすくなります。
その面からも「心」の整備は必要になります。
ストレスに負けないような生活スタイルを送る工夫も大切です。

しかし現代では、何と言っても「体」に一番留意すべきではないかと思います。
それは、我々が気力だけではカバー出来ないほど高齢まで長生き出来る時代に突入してしまったからです。
70 歳くらいで死ぬのなら、別にそれほど体の鍛錬は意識しなくてもいいでしょう。
しかし 80 歳ともなると、いくら頭が元気でも、体を鍛える努力を怠れば、生活は困難になります。
足が弱って外出もままならないようになってしまったら、生きている意味が薄れてしまいます。
認知症や自律神経失調症の予防にも、歩くこと(特に散歩)は欠かせない養生法だと思います。

そのような訳で、これからの高齢者は、「体」「心」「技」の順に養生する必要があると考えます。
「年を取れば取るほど体を鍛えることを第一に優先し、それにより気力充実やストレス解消が達成され、心の整備につながる。そして得られた心身の健康を維持するため、若干の医療技術を取り入れる」スタンスで、90 歳、100 歳を目指しましょう。

4.さいごに

手前味噌になりますが、我々エスエル医療グループは国内で随一の専門医の集まりです。
決して無駄な医療は行いません。
栄という街は高齢者の心を癒します。
足の鍛錬のためにも、我々に会いに来て下さい。
必要最小限のアドバイスをさせていただきます。
私がこれまで述べた " 高齢者のあり方 " をバックアップできると思います。

もっと手前味噌ですが、高齢者への激励文として、『私は、どこで生き、どこで死んでゆくのか ?』(ワールドプランニング社)という本を書きました。
お読み下さい。

(エスエル医療グループニュース No.148 2018年4月)

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