- 2025.11.10
- たまい眼科ほのぼのクリニック
- 投稿者:院長 玉井 浩子

1.結膜炎とは
結膜は瞼の裏や白目の表面を覆っている薄い膜で、この部分に炎症が起こるのが結膜炎です。
結膜炎の原因には、細菌やウイルスの感染や、花粉症などのアレルギーがあります。
2.流行性角結膜炎について
(1)概要、原因
感染性結膜炎の有名なものとして流行性角結膜炎があります。
うつりやすく、はやり目とも呼ばれます。
アデノウイルス 8 型 19 型などで発症します。
(2)症状
1 ~ 2 週間の潜伏期間ののち、重症な結膜炎症状を呈します。
症状としては、目の充血、涙、眼痛、瞼の腫脹などです。
また、耳の前のリンパ節が腫れたり、のどの痛み、発熱がみられることも多いです。
まず、どちらかの目が発症し、数日後にもう片方にも症状が現れます。
初めに発症した目のほうが重症であることが多いです。
結膜炎症状は約 2 週間続きます。
この時期が人に感染しやすいため、注意が必要です。
結膜炎がピークを過ぎたころ、角膜にも炎症が生じ、小さな点状の濁りが出現することもあります。
この時、まぶしさや見にくさを感じます。
この角膜の症状は、数か月から 1年続くこともあります。
(3)診断、治療
診断には、これらの症状の確認とともに、ウイルスの存在を確認する迅速キットを使用します。
この病気には特効薬はありません。
対症療法として、抗炎症剤やステロイド剤の点眼を、また、細菌の混合感染を予防するために抗生剤の点眼をします。
(4)感染の拡大を防ぐ
この病気で特に大切なことは感染の拡大を防ぐことです。
この病気は感染力が強いため、周囲の人にうつりやすく、学校伝染病に指定されていて、感染力のある時期は学校を休む必要があります。
感染を防ぐには、手洗いが最も大切です。
ウイルスは手や指から広がっていくからです。
コンタクトレンズを使用している方や点眼剤を使用中の方は特に気を付ける必要があります。
また、家庭の中では、タオルを共用しない、感染者の入浴は最後にする、目やにをふくときはティッシュなどでふきすぐに捨てるようにして感染に注意してください。
3.アレルギー性結膜炎について
(1)概要、原因
アレルギー性結膜炎は、目の表面に花粉などのアレルギーを起こす物質が付着して結膜に炎症を生じる病気です。
花粉が飛散する時期だけ症状の出るような季節性のものと、ダニやハウスダストなどが原因で年中症状の出る通年性のものがあります。
花粉などのアレルギーを起こす物質が結膜に入るとアレルギー反応が起きて、ヒスタミンなどの物質が放出され、知覚神経や毛細血管が刺激されて、かゆくなったり目が充血したりします。
アレルギーを起こす物質としては、スギやヒノキの花粉、ダニやハウスダスト、動物の毛や虫などがあります。
(2)症状
アレルギー性結膜炎の症状は、目のかゆみ、充血、異物感、涙、瞼の腫脹などです。
かゆみが強いとこすってしまい、瞼の皮膚や角膜に傷をつけてしまうこともあるので、目をこすらないようにしましょう。
花粉などのアレルギーの場合、両眼同時にかゆくなることが多いですが、虫や動物の毛が眼に入った場合は入ったほうの眼だけ症状が出現します。
(3)診断、治療
診断は、自覚症状と眼の所見によって行います。
また、花粉が原因であれば、毎年同じ時期に症状が出るということも判断の材料になります。
治療は、抗炎症剤やステロイド剤の点眼と、アレルギーの原因物質を避けることです。
花粉症ならゴーグルやマスクをする、洗濯物は室内で干すなどに注意するとよいでしょう。
(エスエル医療グループニュース No.151 2019年4月)
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