- 2026.7.13
- 神経内科 渡辺クリニック
- 投稿者:院長 渡辺 正樹

一年ちょっと前、急に味噌を勉強したくなりました。
味噌は日本の伝統的な保存食品で、物凄く多くの栄養素を含みます。今回話題にする筋活、腸活の栄養素の多くも味噌に含まれます。
筋肉を増やして代謝を上げることを筋活、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を良くすることを腸活と言います。
筋活、腸活で多くの疾患を予防できます。
起立性調節障害(OD)、感染症、自律神経失調症、メタボ、ガン、フレイル、認知症など。
そして僕の愛する味噌汁がそれを助けるということも説明したいと思います。
筋活には白筋のレジスタンス運動(グッと力を入れる高強度・短時間の筋トレ)と赤筋の反復運動(低〜中強度・長時間繰り返す筋トレ)やストレッチ(20 秒以上ゆっくり伸ばす筋トレ)があります。
各年代、疾患でどちらの筋トレが良いかは異なります。
腸活には散歩のような穏やかな運動や長めの入浴、温泉などで身体を温めることが大切です。
栄養面では、筋肉の元のタンパク質、筋肉の代謝を進めるビタミンB1、B2、B6、ビタミンC、ビタミンDが筋活栄養です。
味噌はこの中でビタミンC、ビタミンD以外すべてを含むので、足りない分は味噌汁の具材(イワシ、ワカメなど)で補えばバッチリです。
腸活栄養は善玉菌(乳酸菌、ビフィズス菌など)を含む発酵食品と、善玉菌のエサになるグルタミン、食物繊維、オリゴ糖です。
味噌はこれらをすべて満たしており、腸活にもバッチリです。
効果を倍増するための具材として豚肉、卵、イモ、ゴボウ、干しシイタケなどを乗せて筋活・腸活味噌汁の完成です。
筋活、腸活の栄養素をたっぷり含んだ温かい筋活・腸活味噌汁(略して筋腸味噌汁)は健康増進の強い味方になるはずです。
各年代で襲って来る疾患に対する筋活、腸活について順に述べていきます。

〜起立性調節障害(OD)
まず成長期のOD。
ODのため不登校になる子供が増えてきています。
ODの子供は大抵やせています。
説明は省きますが、筋肉の成長が遅れたらインスリンは働きが悪くなり、自律神経失調が起こります。
自律神経失調症で交感神経亢進(元気になりすぎる)が起こると、頻脈、血圧変動、倦怠、不眠、腹痛などで、ODの子供は一見“怠け者”になり、不登校に陥るのです。
筋活で筋肉を増やせばインスリンが元気になり、自律神経が整います。
成長期は白筋が増える時期ですから、特に下半身の白筋レジスタンス運動が良いでしょう。
腸活で腸内環境が良くなるとインスリンの働きが良くなることもわかってきてます。
どんどん外へ出て散歩するのが腸活につながります。
成長期は精神的にもろいので、ストレス時に消費されやすいタンパク質とビタミン C、ストレスを緩和するグリシン、トリプトファン、GABA も有用です。
カボチャ(ビタミン C、GABA)、鶏肉(タンパク質、グリシン)などを筋腸味噌汁の具材に加えて「OD 味噌汁」の完成です。
〜感染症
免疫力は 20 歳くらいから低下していきます。
歳を取れば取るほど免疫力アップは大切です。
免疫の7割は腸管が担うことになり、腸活で善玉菌を増やすことが免疫力アップには大切です。
腸活には散歩、ゆっくり入浴、温泉などで身体の芯まで温めるようにしてください。
筋活で筋肉を増やせば筋肉からグルタミンが分泌され、腸内の善玉菌のエサになることで腸活にもつながります。
筋活は白筋を増やすレジスタンス運動を取り入れてください。
免疫の実働部隊である白血球を元気にするタンパク質、ビタミン、粘膜を強化するビタミン A、C、E も免疫力アップを助けます。
筋腸味噌汁に魚やレバー(タンパク質、ビタミン B6)、カボチャ(ビタミン A、C、E)を加えて「免疫アップ味噌汁」の完成です。
〜メタボ
メタボとは、中年以降に内臓脂肪が増加するため動脈硬化が進んでいく症候群で、内臓脂肪を増やさないことが肝心になります。
内臓脂肪は動脈硬化につながるのです。
動脈硬化の先に脳卒中、心筋梗塞などの成人病が待っています。
筋活で筋肉が増えると、それだけ脂肪が燃やされるため内臓脂肪減少につながります。
脂肪は筋肉の中でも赤筋で燃やされるため、赤筋反復運動やストレッチを地道に続けて赤筋を鍛えてください。
腸活で腸内環境が良くなると体内の掃除役であるインスリンが元気になり、脂肪も減らされます。
一日7000歩くらい歩くと内臓脂肪は燃やされるし、身体が温まり腸活にもつながります。
脂肪の代謝を進めるためにはビタミン B2、ビタミン E、食物繊維の他にアリシン、ジンゲロール、カプサイシンなどの刺激物もオススメです。
ネギ(アリシン)を筋腸味噌汁に乗せると味も引き締まり、「メタボ味噌汁」の出来上がりです。
〜フレイル
老後はフレイル(心身の虚弱化)が一番の敵で、体内で色々なものが足りなくなっていきます。
フレイルは筋肉の他にも骨、心臓、肺、歯など色々な部位に起こります。
骨なら骨粗しょう症、心臓なら心不全、肺なら老人性肺炎や誤嚥性肺炎、歯なら咀嚼力の低下による栄養失調。
筋肉減少がフレイルの第一の兆候であることが多く、筋活が最優先されるべき課題だと思います。
適度に白筋レジスタンス運動、赤筋反復運動やストレッチを励んでください。
腸活により消化・吸収を改善して栄養失調を避ける、免疫力を上げて老人の大敵である肺炎の予防に努める必要もあります。
毎日一度は外で日に当たって散歩する、散歩が無理なら室内で足踏み、温かい食べ物を摂るなどして体内を温めてください。
栄養失調を防ぐため発酵食品、骨粗しょう症予防のためタンパク質、ビタミン D、ミネラル(カルシウム)、心不全予防のためビタミン B1、ビタ
ミン C、E を摂るのが良いでしょう。
筋腸味噌汁にカツオ節、豚肉、カボチャを加えて「フレイル味噌汁」の出来上がりです。
〜ガン
ガンは正常細胞が活性酸素などによりガン細胞に変化するところから始まります。
ガン細胞がある数以上に増加すれば「ガン」として発症するのです。
次にガン細胞や活性酸素を体外に吐き出すことにつながる自律神経、最後にガン細胞を防ぐ免疫力の改善が必要です。
したがってガン予防には活性酸素を減らす、自律神経を整える、免疫力を上げることが大切です。
腸活で善玉菌が増えると免疫力はアップします。
善玉菌は白血球を元気にしてガン細胞と戦ってくれます。
散歩、ゆっくり入浴、温泉などで身体の芯まで温めるようにして免疫力を上げましょう。
筋活、腸活でインスリンが元気になると自律神経が整います。
その結果、活性酸素が減ります。
筋活は活性酸素を増やさない程度の軽めの白筋レジスタンス運動、赤筋反復運動やストレッチを楽しくやりましょう。
活性酸素を減らすのが抗酸化物質、発酵物質です。
豆腐(イソフラボン)、ナス(アントシアニン)、ごぼう・アスパラガス(ルチン)、カボチャ・ニンジン・ほうれん草・サケ(カロテノイド)などの抗酸化食品、そして発酵食品であるカツオ節を筋腸味噌汁に乗せて「ガン予防味噌汁」の完成です。
〜認知症
認知症(アルツハイマー病)は中年期以降、脳内にアミロイドβが溜まり始めるのが原因と言われています。
アミロイドβはメタボ(内臓脂肪)で溜まりやすくなります。
内臓脂肪は筋活で減らすことができます。
老年期にはアミロイドβの攻撃で神経細胞がどんどん減っていきます。
これに追い打ちをかけるのが活性酸素です。
活性酸素は自律神経失調症でも増えるのですが、筋活、腸活で自律神経は整えられます。
老後に筋肉減少で運動不足になったり腸内環境の悪化で栄養失調が進んだりすれば、神経細胞に神経ホルモンを作る余力はなくなり、認知症に達してしまいます。
筋活で筋肉を増やし、腸活で腸内環境を良くすれば、神経ホルモンは増やせます。
以上のように筋活、腸活は色々な時期において認知症予防に必須なのです。
特に高齢になったら、腸活に“もくもく散歩”、筋活に“ワクワク筋トレ”を心がけましょう。
“もくもく”は大脳辺縁系を、“ワクワク”は前頭葉を元気づけます。
筋腸味噌汁に神経細胞を丈夫にする魚貝(ビタミン B12、DHA)、神経細胞のエネルギーになる納豆(糖質、乳酸菌)、神経細胞の代謝を助けるレバー(ビタミン B1、B2、B6、B12、ビタミン C)、神経ホルモンの元になる卵(レシチン)、海藻(グルタミン酸)、タケノコ(チロシン)などを加えると「ボケ予防(脳若返り)味噌汁」の完成です。
今年の 10 月に渡辺クリニックの院長を代わります。
だからこれが僕のラストメッセージです。
なかなかの長文で、内容も難しかったと思いますが、そんな訳なのでお許しください。
(エスエル医療グループニュース No.172 2026年4月)
関連する診療内容:

