- 2026.1.19
- 岩瀬内科・消化器内科
- 投稿者:名誉院長 三浦 利重

あこがれたのは長閑な生活でした。
小学生の夏休みのような、退屈だけど何一つ強制されない、自由な時間が山ほどある生活が望みでした。
すでに 70 歳を過ぎていたからそんな生活も許されるような気がして、唐の時代の詩人や漱石の草枕の主人公の様に、浮世離れした、風景の中に溶け込むような生き方を試してみたかった。
◆健康寿命の研究
老いてからの理想の実現には、健康が欠かせません。
秦の始皇帝の様に、現代の長者たちも不老長寿の薬を必死に追い求めている。
日本人はと言えば、全てはなるようにしかならないと達観し、世界の熱狂からはだいぶ距離を置いているようです。
事実は、かなり深いところまで健康長寿の研究は進展しています。
マウスによる実験では、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)という物質を1週間投与したところ、人間に例えると 60歳の人が 20 歳に若返るほどの効果があったという。
この NMN は日本でもサプリとして販売され、最も高いものは月に 30 万円もかかります。
いったい誰が飲んでいるのか教えてよと思いますが。
研究論文としては、糖尿病の発症期に、これを大量に投与するとその後の腎症の発病を予防できるというものや高齢者の筋力を改善するとするものなどいろいろあります。
眼科では老化を逆行させて若返らせ、加齢に伴う様々な疾患を治療できないかと期待する向きもあるようです。
NMN は老化を抑えるサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)を活性化することが分かっています。
面白い事にこの長寿遺伝子は「命を弱らせない程度のストレス」によっても活性化します。
アメリカではそのストレスを求めて、- 110℃の特殊な装置内に1~3分留まることを繰り返す人たちがいるという。
日本では、管理された1週間ほどの断食により、心身を整えかつ若返らせることを目指す人たちがいる。
世界中で使われているある薬は、欧米では以前から健康長寿をもたらすのではないかと注目されていた。
それを確かめるための大規模臨床試験が、サウジアラビアのヘボリューション財団の支援を受け1年前に開始された。
この薬は非常に安価なので、もし健康寿命を延ばす効果が証明されれば、人類に大きな恩恵をもたらすと思われる。
◆誰にでもできる健康法
次に日々の生活の工夫によって健康長寿を達成できないか考えてみましょう。
夢を追うのは研究者に任せ、私たちは今すぐ誰にでもできる健康法に取り組みましょう。
大切なのは運動・食事・睡眠です。
その前に、もしあなたが毎年健康診断を受けているなら、その結果に応じ、必要ならそれぞれの専門医を受診することです。
面倒ではあっても、これは長寿・健康を目指すための大事な一歩です。
運動は誰もが手にできる安価で副作用もない最高の健康法であり、同時にほぼすべての慢性病に対し抜群の効果を発揮します。
高価なサプリを求める前にまず実践してみましょう。
ジムに通うのもよいのですが手軽なのは散歩です。
60 歳以下の元気な人なら、毎日8千歩以上歩くと病気になりにくく、突然死も少ないというデータがあります。
60 代 70 代なら4~7千歩、80 代でも3千歩ほどが目安となります。
食事は太りやすい中年期には腹八分がとても大事です。
食前にキャベツなどを大量に食べることで、ご飯や麺類を減らし減量ができます。
腸内環境を整え、病気になりにくい体を作るためにも野菜や海藻類(食物繊維)を積極的にとりましょう。
高齢者には筋肉の衰えを予防するため納豆・豆腐・肉や魚などの蛋白質も(運動も)薦められます。
不眠のため体重が減るときは神経科を受診してみるのも良いでしょう。
◆おわりに
これらの事を実践してもなお何かが足りない。
それは人との繋がりや生きがいでした。
生きがいとは誰かのために動いてみることでしょうか。
私個人としては、週に2~3回の外来診療が最大の生きがいであり、多くの方に接し、少しでもお役に立てればと思うことで活力が湧いてくるので
した。
(エスエル医療グループニュース No.166 2024年4月)
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