ジュリエットの悩み
「おい、わがまま娘、萎黄(いおう)病にでもかかった面(つら)しやがって」
戯曲「ロミオとジュリエット」で父が勤める結婚を断ったジュリエットに激怒した父が投げつけたせりふ。「萎黄病」は16~17世紀に世界中で報告された思春期の女性特有の病気であったが、その後、鉄分不足による貧血とわかり萎黄病の名は消えた。今年も健康診断では萎黄病、いや貧血を指摘する社員も多かった。
貧血の原因の半数以上が鉄欠乏性貧血。鉄分不足で酸素を運ぶヘモグロビンの生産量が低下し、顔色が悪い。息切れ、動悸(どうき)、めまいなどの症状が出現する。鉄欠乏性貧血が女性に多いのは、生理や出産、授乳などで鉄分が失われやすいから。中学生などの成長期の女性は貧血になりやすいし、過度のダイエットも貧血になる。
1日に必要な鉄は成人男性で10mg、女性は12mg。鉄はレバーや貝類、ひじきや煮干に多く含まれる。穀類や緑黄色野菜にも鉄(非へム鉄)が含まれるが、動物性食品に含まれるヘム鉄の方が吸収率がよい。
ジュリエットは14歳。成長期の鉄欠乏性貧血であったと思われるが、偏食もあったのだろうか?