60代男性:同年代の職場の同僚が大動脈解離で緊急手術をしたと聞きました。
大動脈解離とはどのような病気ですか?
動脈は、内側より内膜、中膜、外膜の3層構造をしております。大動脈解離とは、心臓から出た太い動脈の内膜が突然はがれる(解離する)、突然死することもある危険な病気です。はがれた内膜より中膜に血液が入り込み袋状に拡大(瘤状化)すると、破裂する可能性があります。多くの症例では、大動脈から左鎖骨下動脈を分岐する近辺より解離が発生します。発症部位より心臓(上行大動脈)方向に解離が進むタイプ(スタンフォードA型)と、下行大動脈方向にすすむ(同B型)の2つのタイプに分かれます。A型になると脳梗塞、心筋梗塞、大動脈弁の急性弁膜症、心タンポナーデ(心臓周囲に血液が貯留)といった命に係わる合併症が発症する場合があり、このA型は緊急手術を要します。B型は、手術せず絶対安静、血圧の厳重管理といった保存的治療を取る場合が多いです。大動脈解離になる原因としては、高血圧、脂質代謝異常といった動脈硬化症の進展に関連する生活習慣病の存在や、喫煙習慣などがあげられます。予防は、生活習慣病の是正、禁煙、肥満対策につとめ、特に血圧が高い方は、寒い時期の急激な負担のかかる運動を控える等、血圧急上昇を起こさせない対策も必要となります。