B型慢性肝炎
我が国のB型慢性肝炎の感染経路は、乳幼児期までの家族内感染が主であり、成人発症の急性肝炎からの慢性化はほとんど無いとされていました。しかし、遺伝子型AのHBVによる急性肝炎では、慢性化しやすいことが最近明らかになりました。自然経過においてHBe抗原陽性からHBe抗体陽性へとセロコンバージョンし、肝炎が沈静化しますが、約20%では肝炎が持続すると言われています。
肝硬変まで進展すると、年率3~5%で肝細胞癌を発症します。
厚生労働省研究班のガイドラインでは、ALT31IU/L以上で、HBV DNA量が104copies/mL以上の症例を治療適応としています。
IFN治療の効果が期待できる症例ではIFN治療が原則です。35歳以上で、血小板15万/mm3未満、または肝線維化進展例では、経口の抗肝炎ウイルス薬である核酸アナログ(NA)製剤が投与されます。NA製剤はHBe抗原セロコンバージョン率や、HBV DNA陰性化率が必ずしも高くありません。また、長期間服用する必要があり、耐性変異のリスクもあります。