- 2025.5.28
- 森川クリニック
- 投稿者:森川 建基
前回のコラムで、朝にクリニックの8階の窓から歩道を歩く人々を見ていると、「睡眠不足の方が結構多い」と感じたこと、そして私なりの“美味しい睡眠”を得るための努力の一部をご紹介しました。
今回はその続きをお話ししたいと思います。
私が好んでいたのは、ジャズと「般若心経」のコラボレーション音楽を寝る前に聴くこと。
イヤホンは苦手なので、スピーカーの音量を絞って流していました。
ところが妻から、「夜中にそんなお経を聴くなんて不気味」と言われて、この方法は頓挫してしまいました。
それではと気を取り直し、“美味しい睡眠がとれる音楽”と謳われたCDを3枚購入し、交互に聴いてみました。さらに、それらのCDに飽きてきたら、
好きなジャズピアノ演奏者の音楽
クラシックで眠れそうな曲
古今亭志ん匠の落語(※内容をほぼ覚えている演目を選ぶとより効果的)
英語ニュース
深夜ラジオ
など、さまざまな音源をマニアックに試す「美味しい睡眠探求」の日々が続きました。
ちなみに昨晩は、**キース・ジャレットのジャズピアノ独奏「ケルン・コンサート」**を聴き始めて、2〜3分で眠ってしまいました。英語ニュースも、難しめの内容だとすんなり眠れることがあります。
一方、ネットサーフィンや深夜ラジオは内容が面白すぎると、つい2時間くらい聴き続けてしまうことがあるので要注意です。
このような「音楽系」では、どうしても“美味しい睡眠”が得られないという方には、イメージトレーニングをおすすめします。ただし、あまりに興奮するようなイメージは逆効果。
ごく単純で、1〜5分程度で完結するイメージが理想です。
こうした「物理的な催眠戦術」については、次回改めて詳しくご紹介したいと思いますが、少しだけ例を挙げると——
私の趣味のひとつにグライダーがあります。眠れないときには、このグライダーが滑走路を走り、離陸する瞬間の映像を頭の中で思い浮かべるようにしています。すると、大抵5分くらいで眠ってしまうのです。
次回は、このようなイメージを活用した睡眠導入の具体的な方法についてご紹介します。どうぞお楽しみに。
エスエル医療グループニュース No.124(2010年8月発行)

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